坂下停留所で立ち尽くす俺たち。
「…どういうことだよ、瑞樹」
「どうも何も、会う気はないんだって。引っ越すならもうそれでいいじゃん」
何だかイライラしてきた。
そのつもりはなくても自然と口調が強くなってしまう。
「どうせいなくなるんだったら一緒だよ。俺は行かない」
会えるわけないし、会ったところでどうしようもない。
…そもそも先に距離を置いたのは成海さんの方だ。
今更会いに行く必要なんかない。
「……お前本気でそう思ってんの?」
低い声で、静かに郁也が言った。
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