成海さんの後に続いて停留所に降りた。
扉を閉めたバスはすぐに去っていく。
山のふもとのバス停で2人きりになった。
「……」
「……」
…どうしよう
何だかこのまま帰るのがもったいないな…
せっかく会話する仲になれたのに、今ここで別れたら、明日になるとまた振り出しに戻ってしまう気がする。
そんな気持ちが、俺の足をこの場に縛り付ける。
「…あの…帰らないの?」
動かずにそわそわする俺を変に思ったのか、成海さんが話しかけてきた。
「あ、えっと………な、何だか…もっと成海さんと…話したくて…」
紡ぐごとにごにょごにょと吃っていく俺の言葉。
あぁ…
成海さんにこれが聞こえているのかどうかは分からないけど、こんなダイレクトに答えなくてもいいだろ、俺…
初めて話した男にこんなことを言われたら、たいがいの女の子は引くんだろうな…