チチチチチ……
ピピピピ……
鳥の囀りと目覚まし時計のアラームが同時に響き渡る。
もうちょっと寝ていたい気持ちを殺し、新たな朝を迎えた。
「…おはようございます」
「あ、おはよ。昨日は珍しかったね」
「んー…」
結局昨日はあのまま寝てしまった。
夕飯も食べずに寝た俺を心配してくれる母さんに、適当にごまかす。
いつもより少し多めに作ってくれた朝ご飯を、寝ぼけながら食べた。
「行ってきます」
支度を終えて、いつもの時間通りに家を出る。
日に日に気温が下がる冬。
今日はまた一段と空気が冷たく、外に出た瞬間全身が身震いする。
もやもやとした気持ちと共に顔をマフラーにうずめ、今日も彼女がいるであろうバス停に向かった。