「海斗ー?帰るよー?」
遠くから成海さんが近づいてきた。
「あ、ゆずちゃんがくる」
声に気付いた海斗くんが振り返る。
「もう帰らないとね」
「ちぇー」
俺ともう少し話したかった、とでも言いたげに、口を尖らせた。
こういうところは、やっぱり子供だな。
「あ、みずき、いまのはなしはゆずちゃんにはヒミツだぞ!」
「おう、わかった。約束するよ」
海斗くんの言葉に小さくOKサインで答える。
目の前にまた屈託のない笑顔。
「じゃあな!」
「うん、ばいばい」
俺の肩を軽く叩いてからここから離れて行く。
成海さんの元に駆け寄った海斗くんは、もう一度こちらを振り返って手を振ってくれた。
もうすぐ5時になる頃
2人の姿が見えなくなるまで見送った後、俺も家に帰った。