「ねぇ、やっぱり達…「ゆずちゃーーーん!!!」
…あれ。
俺の言葉が何者かによって遮られてしまった。
“ゆずちゃん”と呼ぶ、甲高いはっきりした声。
当たりを見渡すと、その主だろうと思える小学生くらいの男の子が、反対車線からこちらに駆けてくるのが目に入った。
「ゆずちゃーん!」
「わっ、海斗!」
全力疾走で走ってきた男の子は、しゃがみこんで腕を広げた成海さんの胸に、一直線で飛び込んだ。
「どうしたの、海斗?」
「こうえんであそんできたかえり!ゆずちゃんをみつけたからはしってきた!」
「そっか」
男の子を“海斗”と呼んでにっこり微笑みかける成海さん。
また胸がチクリ。
…って、おい。
こんな小さい子に嫉妬するなんて俺、相変わらず情けない…