……それからわたしは、何度かあの人のことを考えるようになった。



数日経った新学期の朝、バス停で彼の姿をもう一度見たときは、もうどうしようもないくらいに胸が高鳴った。



話しかけてきてくれた時のように、彼から目を離せなかった。




あの時と同じ線のバスに乗る彼を、通り過ぎるまでただ見つめるだけの毎朝。



彼がわたしの姿に気付くことは一度もなかった。





…そしてあれから数ヶ月経った今日。



思いもしなかった再会。





………彼はわたしのこと自体、覚えていなかった―――――……