「じゃあ南区まで戻ろうか」


「え?どうやって…」



南区までの道なんて全く分からないのに…



「中央駅行きのバスに乗ればいいんだよ」



…………



…………あ…




「思いつかなかった?」


「………」



……バカだ、わたし…何で気付かなかったんだろ…



冷静になって考えれば当たり前のことだったのに。



…頭の悪い子だと思われちゃったかな…





「まぁ焦ってるときは仕方ないよな」



わたしの思いとは裏腹に、男の人はそう言って笑ってくれた。



…優しい人だなぁ…



この人に声をかけてもらえてよかった。