そんな理論など、花音は知ったこっちゃない。

彼女の目には、『龍娘は龍太郎にばかり贔屓して、拓ちゃんにはキツイシュギョーをさせていじめる悪い先生』としか映らなかった。

(この先生酷い!拓ちゃんにばっかり意地悪して!)

五所川原を抱き締めつつ、プクッと頬を膨らませる花音。

汗まみれになって、苦しそうに顔を顰めて、荒い呼吸をして。

拓斗は本当にしんどそうだ。

あんな辛そうな顔をする拓斗を、花音は見た事がない。

だから、そんな顔をさせる龍太郎や龍娘が許せずに。