早速龍太郎が始めたのは立禅。

武道なんてさっぱりわからない花音から見れば、変な姿勢でただ突っ立っているだけにしか見えない。

なのに。

「さぁ、拓斗も始めろ」

「はい」

龍娘が拓斗に指示したのは腕立て伏せ。

しかも、10回や20回ではない。

拓斗が限界を迎えるまで、回数を決めずに延々と腕立て伏せをさせ続ける。

筋肉というのは、限界まで酷使する事で筋繊維がより太く強いものへと変貌し、筋肉痛が回復する頃には頑強な筋肉へと変わっていく。

その為には限界まで筋肉をいじめ抜き、限界だと思ってもあと一回、もう一回と腕立て伏せを繰り返す。

そうする事で腕力が身についていくのだ。