きっと、飽きるほど弾いてきたはずなのに、一向に飽きがくることはなくて。

そればかりか、弾けば弾くほどに、深みも幅も、愛着も増して。

存在しない毎日、過去や未来、人生を、とてもじゃないけど想像できない。

したくもないの。



「楽譜と違うことをしても、乗っていないことをしても、私達なら新しい色に変えることができる。

…そう教えてくれたのは、緒斗くんだよ?」


楽譜通りに引かなくたっていい。
私達の音を鳴らせばいい。

そうやって音で会話をしながら、"今日" まで一緒に歩いてきた。


好きなように跳ねて踊って、ゆさぶって。

自由に遊ぶ私が引っ張っているようで、緒斗くんに支えてもらっている安心感。

でも緒斗くんが羽根を伸ばす時には、私が包んであげたいの。


…そんな風にこれからの "未来" も、歩いていきたいんだよ。

緒斗くんと、2人で。