ほどけた笑顔に、変化した呼び名。
同じ職場の教師であること、2つ年上の先輩であること。仕事での、繋がりであること。
その膜がみえなくなったのは、この瞬間だったのかもしれない。
眉毛を下げて笑うかわいさに、愛しさを覚えた最初の日。
『ふふ、なんでこまるんですか』
『だって…クセになるでしょ、こんなの。
また、きてくれる?』
『毎日きても、もう取り消しできないですからね?』
ーそんな風にはじまった、私達。
最初の演奏がおわった瞬間から、次の演奏では何をしよう?って、イメージを膨らませるのがたのしかった。
それは、自由に弾いていいと、私に羽根をくれた、緒斗くんのおかげなんだよ?
他の誰でもない、緒斗くんの。