振り払いたくても、捨てたくても。

思えば思うほどに、根を伸ばすそれ。


マグマのように、確実に、私を食い荒らしていく想い。



「奪っていかないで…っ」


どういうことと、目を細める旭日先生に、自分でも、支離滅裂であることくらい、わかってた。

それでも、返してほしかった。


"疑い" を知らずに、純粋に彼の愛を信じて、受け取っていられた時間を。

心のままに笑い合えていた、しあわせな時間を。

隣にいるだけで満たされていた、あの時間を。


私の、大切な時間を。



「生徒をたぶらかすなんて、ありえない…っ!自分は婚約だってしてるくせに…!」



ー… かけがえのない、愛を。


奪っていかないで、ほしかったの。