それでも、何か理由があるのかもしれない。
私が好きになったはるは…半年間、彼氏彼女として、誰よりも近くで過ごしてきた、はるは。
好きなことに真っ直ぐで、全力で。
時々周りがみえなくなるほど熱中してしまう、そんな彼だったから。
床に転がる、玉子焼きや唐揚げ、ウィンナー。
埃にまみれて、二度と美味しく食べられなくなっていると知りながら、事情を知りたくて。
たった今起きてしまったことを、なかったことにするかのように、急いでその場を片付けて、はるの背中を追いかけた。
追いかけた先の中庭でみつけてしまった、霞先生の折れそうな後ろ姿。
青白い視線の先にいた、旭日先生とはるの、仲睦まじい姿までも。
『……っ!あれ、って…』
2人は、人目から逃れるように、木の陰になっているベンチに座っていて。
それぞれの膝の上には、私が作ったのとは違うお弁当箱が、お行儀よく乗っていた。
赤色のお弁当箱と、陽だまりの様な暖色系のタータンチェック。
春の木漏れ日に照らされて、
その眩しさに、覚える胸焼け。
『……っ、』
私だけの、唇を
さらりと撫でる、旭日先生の細くてやわらかそうな指にも、
口元を撫でられただけで、耳まで真っ赤にしてしまう、だらしないはるにも、
吐き気がするほどに。