終わりたくない、終わり。
その終わりで、全てを失うのは、私だけ。
私の手の中にあったもの、
ギリギリ繋ぎ止めていたもの、
心の拠り所さえ、
私の意に反して…
ううん。私の想いなんて気にも止めずに、するりと離れていくんだ。
「…なに、してるの…?」
ー旭日先生は、選ぶ権利さえ、手にしているのに。
一方向に可愛げなく落ちる真っ黒な私の髪とは違って、ふわふわと、あっちこっちに遊ぶ柔らかな毛先。
猫目な私と、大人なのに、仔犬のような瞳。
旭日先生と私は、苦しいほどに対象的で、こういう女(ひと)が、幸せを掴むんだと思い知らされる。
先に傷をつけたのは、旭日先生なのに。
「………」
…ずるい。
裏切られたような、顔をするなんて。
どうやったって私は、
この女(ひと)のようにはなれない。