狭い路地に私は逃げ込む。


私はある人物から逃げている。


殺されたくない…


その一心で全速力で逃げる。


でも、あいつは徐々に迫って、やがては私の背中を触ってきた。


背中からは嫌な汗がどろりと流れ、気持ち悪い。


ずでーんっと、派手な転び方をし、顔や膝に擦り傷をつくる。


でも、私には痛みなんて感じなかった。


恐怖の方が大きかったから。


「ごっごめんなさい…」


別に自分が悪いことをして、謝っているんじゃない。


ただ、口から勝手に出た。


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」


何度も謝り続ける。


許しなんてもらえるなんてない。


私は何もしてないから。


それでも、私は謝り続ける。


何から許してもらえるように…


あいつは私が泣きながら謝り続けているのを見て、不気味に笑う。


もう、駄目だ。


私は最後の最後まで謝り続けた。


そして、最後に見たのはキラキラと輝く大きな斧。


もし、誰か。


こいつを止めれるのなら、止めて下さい。


それが、私、高垣愛の望みです。


振り下ろされた斧は私の頭を二つに割った…