遠くて、よく見えないのに…。

一瞬で分かってしまった。



あれは………………



「どうしたの?村上さん…座って?」


黒ぶち眼鏡の森岡が不思議そうにあたしを見つめる。

みんなの視線が痛い………。

でも…それより………。



「か、要……。」



ずっとずっと、あなたを待っていた、あなただけを。


会いたかった。

どこにいたの?

誰と?


聞きたいことはいっぱいあるのに、今はとても嬉しくて、涙が溢れそう。


「楓……………??」

要が、小さな声で呟く。

こんなに遠いのに、要の声はよく聞こえる。

これは……嘘…?


違う。絶対に。

目が……離せない。



……あれは要だ………。