友だちやよ。
あたしの中ではね。
そう思いながら、横で手を合わせる松野を見る。
相変わらず変なヤツ。
「松野はどう思ってんの?」
「友だち!」
即答かい。
松野は手をグーにして、目を輝かせている。
組んでいた腕をはずし、腰にもっていく。
「松野がそう思うんだったら、友だちでいいんちゃう」
そう言ってさっさと先を歩く。
松野の喜ぶ声が聞こえる。
あんなことしてもらって、友だちじゃないわけないやん。
ほんま感謝してる。
鼻唄交じりで歩いてく。
松野のおかげで心も体も軽くなった。
こんなの久しぶり。
松野はあたしにとって、掛け替えのない友だちやで。
この時はそう思ってた。
けどあたしは、自分の気持ちに気付いてないだけなんや。