「ありがとう!」
急に出した大きな声に松野は驚いている。
「聞こえてるよ」
そう言ってまた笑顔になる。
その笑顔を見ると、自分まで頬が緩む。
「よかったな」
それは笑えたことか、ケジメをつけることができたことか…。
いや、両方だろう。
自然と涙が浮かぶ。
「松野が……おってくれたから…」
「何ゆうてんの。宮野が変わりたいて思ったからやろ?」
でも、そう思わせてくれたのは松野だ。
“変わりたい”って“強くなりたい”って思わせてくれた。
あたしは松野の服の袖をぎゅっと握る。
「…うん」
「よっしゃ。帰ろか」
「うん」
そう言って、2人同時に歩き出す。