松野……?
松野はあたしの……。
あたしは携帯を見つめる。
心配そうな顔をしてる松野の顔が思い浮かぶ。
あたしは口元を少し緩めた。
「この人は…………あたしの唯一信じられる人」
そう言った。
椎名織斗は少し寂しそうな顔をする。
そして下を向きながらこう言った。
「あの頃なら、俺だった……?」
あの頃……。
唯一信じられて、唯一心を許せる人だった。
俯く椎名織斗の前に屈む。
寂しげな瞳であたしを見つめる。
「…うん。けど今は………今は、昔のアンタより信じられる人見つけた」
そう言って立ち上がる。
いつの間にか松野は、あたしの中でとても大きな存在になってたんだ。
安心して心を預けられる存在。