「あ、わかった。じゃ、入る?」
「……外じゃ…駄目?」
「えぇけど、どこ?」
「近くの公園」
あたしは外を指差す。
それに椎名織斗は頷き、靴を履き始めた。
「じゃ、行こか」
「ん…」
あたし達は家を出、公園に向かった。
その間会話はなく、ただ歩くだけだった。
あたしは電話を耳にあてる。
『大丈夫?』
「うん……」
『無理したあかんで』
「お母さんみたい」
と言って、あたしはふっと笑った。
すると
『お母さんかい! せめて、お父さんやろ』
と、松野がすかさずツッコミを入れる。
ガチガチだった体が、少し緩んだ。