15分後、目的の住所に到着した。
椎名織斗が住んでるのは、4階建てのマンション。
そのマンションの3階らしい。
あたしは大きく深呼吸をし、マンションに入っていった。
マンションは物凄く静かだ。
あたしが足を運ぶ度、コツコツを音が鳴る。
静かなマンションに、その音だけが響いていた。
しばらく歩き、階段を上ると椎名織斗の部屋についた。
その前で立ち止まり、もう一度深呼吸をする。
そしてドアノブに手を掛けようとするが、なかなか手が動かない。
また前みたいな事になったら……。
『……宮野?』
松野の声にハッとする。
あたし…無意識のうちに、松野に電話をかけてたんだ。
松野の声は、安心する。
『怖い?』
「ん…正直言って……怖い…」
『俺がおるから…。1人ちゃうから』
そーだよ。
あたし…1人じゃないんだ。
松野がいるんだ……。
「松野……あたし…頑張るから。だから……そこで聞いてて」
『え……』
「あたし………」
言葉に詰まる。
そして、数秒後口を開く。