「…ぁ…たし……行く」
「え…」
「ケジメ……つけてくる…」
あたしの言葉に、驚いている松野。
あたしは下を向く。
「……ほんまに?」
「ん…」
再び松野が、あたしを優しく包む。
「無理せんで…えぇんやで?」
「……大丈夫。松野がいてくれるなら」
「そか」
「うん」
少し黙った後、松野がスボンのポケットをあさりだす。
するとポケットから、1枚のメモ用紙が出てきた。
そのメモ用紙をあたしに差し出す。
「これ……あの人の電話番号と住所。宮野に渡してて言われてん」
「ん…わかった。行ってくる」
あたしはそのメモ用紙を受け取り、その住所に向かう。
「俺が待ってるから頑張り」
「ん…」
あたしは歩き出そうとして、右足を前に出す。
そしてそのまま、左・右・左・右と足を踏み出し歩いていく。