「信じられん。松野くんにあんなことやこんなことまでしてもーたのに…」
「ちょ、誤解招くような言い方やめてもらえます?」
あたしは呆れたように言った。
麻奈は“ごめんごめん”と謝る。
「でさ、ほんまに友だち?」
まだ聞くんか、と呆れながらも
「…うん」
と、少し間をおいて答える。
こんなに聞かれたら、自分でもわからんようになってきた…。
「じゃあ、質問変えるけど」
麻奈の声が真剣になった。
あたしは麻奈の目を見る。
「青ちゃんは松野くんのこと、特別やて思ってる?」
その質問にはすぐに答えれた。
「うん」
「なんで?」
…なんでって?
そんなこと言われても。
あたしは少し首を傾げる。
「わからん」
「…え?」
「いや、だから」
麻奈はふーと息をはいた。
そして、気味が悪いほど笑顔になった。
「え……」
その笑顔に後ずさりする。
麻奈は笑ったままあたしの頭を撫でた。
「ちょっ」
「そぉかー。青ちゃんは気づいてないんや」
その言葉に再び首を傾げる。
麻奈の手をいったん頭から離す。