相手があいつだと?は、笑わせんな!だったらあれか?俺はあいつのためにこんなに悩んだってわけか!
それを考えただけで居心地が悪かった。
長年付き合いがあったというのは否定できないがそれとこれとは話が別。
あいつなんかに理沙を渡せるわけがない!
だったら俺が奪っていく!
理沙は絶対、俺が幸せにする!
見合いをぶち壊すのが怖かった俺だが、相手が“あいつ”と分かればもう黙って見てられない。
「お、お客様!?」
俺は止めようとした仲居を無視し、あいつがいる部屋を探す。
(あった!)
そこには、【細野様 藍田様ご一行】と書かれた小さな看板が出ていた。