「・・・って呼んじゃだめか?」
一応、聞いてみた。
だって、見ず知らずの男にいきなり名前なんて・・・なあ・・・?
「い、いいですよ・・・」
彼女・・・理沙の顔は赤かった。
きっと男から名前で呼ばれる機会が学校で無いのだろう。
同い年の男からも無さそうに伺える。
それからは、普通に“理沙”と呼ぶようになった。
もちろん、理沙からは変わらず“先生”。
名前で呼ばれるなんてことは無いんだろうなあとは思いながらも、どこかで期待はしている。
でもそんなこと、今の状態じゃ、ありえないから。
理沙に俺の気持ちが向くなんて、今は考えられないことだった。