「行ってきます」

「こんな早く行くの?集合時間までまだ時間あるじゃない」

「ちょっと寄りたいとこあるから」

「そう、気を付けてね。恭介君に頑張ってって伝えてね」


とうとうこの日がやって来た。

私は集合時間より1時間早く家を出て、地元で有名な神社に足を運んだ。


今日から始まる選手権の優勝祈願をしに来たんだ。

長い石の階段を登り鳥居を潜ると、誰かが拝殿の前に立っていた。


うちの学校の制服にサッカー部のエナメル鞄を持った男子…


「あ…先輩…?」


私は無意識に先輩を呼んでいた。


「葵…」


久しぶりに先輩に名前で呼ばれて胸がドキッと波を打った。