私は鞄からプレゼントを取り出した。

先輩にプレゼントをあげるか迷ってたけど、店頭に濃紺のマフラーが飾られてるのを見たとき先輩に似合うと思って無意識に手を伸ばしていた。


私は先輩のロッカーにプレゼントを入れようと取っ手に手を掛けた。


「……」


だけど私はロッカーから手を降ろし、プレゼントを鞄の中に戻した。

ちゃんと直接会って、先輩の目を見て渡したいから。


ロッカーに掛かってた傘はきっと先輩が私に貸してくれたものだと思う。

私に気付かせる為にわざと部室の扉の音が校庭まで聞こえるように閉めたんだ。

私は先輩の傘をさして、濡れないようにプレゼントを大事に抱えて部室を後にした。


外はまだ少し雪が降っている。

先輩はどんな気持ちでこの光る雪を見ているんだろう。



数日後、最後の大会が始まる。

どうか先輩達の笑顔が見れますように…


私はホワイトクリスマスの夜空に願った。