「っっ!!」


ロッカーには小さな紙袋が置いてあり、中には綺麗に包装されて可愛らしいリボンがついた手のひらサイズのプレゼントが入っていた。


私は勢いよく部室を飛び出した。


「先輩!」


一面白く染まった校庭、桜の木が植えてある庭、昇降口、サッカー部の倉庫…

何処を探しても先輩の姿はない。



「先輩!!…っ奏人!!!」


私の先輩を呼ぶ声だけが校舎に跳ね返って響いた。



部室に戻った私はプレゼントを手に取って開けた。


「綺麗…」


私の誕生石のエメラルドが埋められたハート型のネックレスが輝きを放っている。

紙袋の中にはメリークリスマスとだけ書かれたメッセージカード。

ぽたっ、ぽたっと落ちた涙で“to 葵”の文字が滲む。


「…うっ…ひっく…」


私はカードとネックレスを胸に抱いて声を上げて泣いた。