「見たんだ。先輩に家まで送ってもらってるとこ」 「…うん。先輩に教えてもらった」 「そっか…」 恭介は落ち着かない様子でボールに足を置いて前後左右に揺らしている。 下を向いていて表情がよく見えないけど、恭介の切ない顔が頭に浮かんだ。 「葵?」 「ん?」 恭介が顔を上げ、不意に目があった。 ドクン、ドクンと規則正しく胸が高鳴り、手に汗が滲む。 緊張が身体中を支配して言う事を聞かない。 「俺、お前が好きだ」