「お断りしますー。初めては好きな人がいいのでー」


「身持ち固いなー。また今度、誘おうかな」


誘っても断られると分かりながら予定するとは、レインも食えない奴だった。


ついで、更にレインは悪質さも持っている。


エレナがレインから視線を外した瞬間に、腰元に携えた細い剣(パラッシュ)を抜いて、白い肌に向けた。

一秒も要らないスピードならば勢いもさることながら、命すら狙ったらしい一太刀はエレナの首筋を断つ殺意をも含むのに――空振りとして、殺意は空気と溶けた。


「レ、レイン中佐……!」


始終のことが終わってから口火を切ったのはミカエルだった。


もうパラッシュが向けられないと知っても、エレナとレインの間に立ち、守ろうとする。