それ以来電車は怖くて
一番端の席しか座れなくなった。

この事は汐里だけが知ってる。
わかってるから、あたしを
端に座らせてくれるんだよね。

ほんと、汐里は優しいね。



デパートには思った通りたくさんの人。
すれ違うときにぶつかる肩とか
好きなように移動できない店内とか
行列のレジとか。



全てにいらいらしてしまう。
大きなツリー、騒ぐ子供、
明るい証明、赤いリボン。



全てに背を向け気付かないフリ。


服を見ながらニコニコしてる
汐里を横目に一人
黒いワンピースを手に取った。