学校なんてだるいだけで
授業なんて聞こうとすらしない。
たまに斜め前に座る汐里が
振り向いて話すぐらい。
ほぼ寝てるし、保健室にいる
時間の方が長い。
「ゆーうー帰ろ」
耳元で叫ばれて目を覚ます。
もう授業終わったの?
「優那寝過ぎだよ」
「眠かった」
「まだ眠そうだよ」
汐里の鋭い突っ込みはスルー。
そういえばクリスマス、だよね。
「汐里、買い物いこ」
「優那が誘うなんて珍し♪いいよー」
人混みは嫌いだけど、汐里が今ほしいアイテムをチェックするためだもの。
親友のための多少の我慢。
家に帰ってささっと着替える。
「いつものデパートでいいよねー」
「ん、いいよー」
時間帯の影響か、電車は空いていた。
あたしは一番端の席に座る。
その横に汐里が座った。
一年前、痴漢にあってから
電車に乗れなくなった。
怖くて抵抗できなくて
ただ涙を流すしかできなかった。
隣に立ってた高校生が助けてくれて
なんとか解放されたんだっけ。