そのままトラックは走り抜けた。


「え…?

あ…。」

朱鳥は状況を理解した。


幸大に抱き締められて歩道に立つ朱鳥。


「ったく…赤信号は止まれって意味だって習ったろ?」

幸大が言う。

「う、うるさい…

わかってるわよ…」



「幸大、大丈夫!?」

青信号になり横断歩道を渡った姫野たちが駆けつける。


「しかし…君は今、どれだけの速度を?」

華乃が言う。

「まぁ…その…たまたま、だ。」

幸大が言う。

「幸大様、学ランに汚れが…」


アゲハが汚れをハンカチで払いながら言う。

「楠木さん…お怪我は?」

咲子が言う。

「な、無いわよ!

ふん!!」

朱鳥は早歩きで幸大たちから離れていった。

「助けてもらって御礼もないのかよ…」

マリアが言う。

「仕方ないだろ…

あいつは俺のことを嫌いなんだし。

それよりも行こうぜ?


遅刻したら優衣がめちゃめちゃ泣くし。」


幸大が言う。