「痛みはどうだ?」

「まだ我慢出来ない程の痛みじゃないです」

「そうか…。何かあれば言ってくれ」





コクリと頷くと私は右腕を広げて口を開く。





「抱き締めて下さい。もう次に拓斗さんから抱き締められる頃にはこのお腹じゃないですから」





私と赤ちゃん一遍に抱きしめるのもラストなんですよ、と言うと拓斗さんは立ち上がり腰を屈めるて私の背中に両手を回した。





「拓斗さん…」

「あぁ」

「私、拓斗さんの笑顔が見たいです」





無理した作り笑顔でもいい。


強ばった拓斗さんの顔じゃなくて笑顔が見たい。


まだ多少は耐えられる痛みの内に。


きっと陣痛がひどくなるとしっかり拓斗さんの顔を見れない気がするから、ね?