ガラリと扉を開け入ってきた拓斗さんは、ペットボトルと携帯を持ちながらベッドへと近付いてくる。
ベッドから起き上がろうとすれば阻止するかの様に拓斗さんは眉を顰めた。
「優子の実家と俺の実家に電話してきた」
「ありがとうございます」
ギーッとベッドサイドの椅子を引いて、腰掛けた拓斗さんは余裕がない表情で私に視線を向けている。
そんな顔しなくても…
と思いながらにっこり微笑んでみれば。
拓斗さんは私の頬に掌を当てすまないと一言。
「すまない、って…?」
「今の笑顔は…。俺の為に笑ってくれただろう」
あっ、バレてたんだ。
私は何も言わずに頬にある拓斗さんの掌を包むように手を伸ばす。