「あのぉ〜拓斗さん」
「……」
「あの、拓斗さん?」
窓から外を見ている拓斗さんは‘あぁ、なんだ’と返事をしてくれた。
「凄く怒ってますよね?」
「そんな事ないが」
いやいやいや、そんな事絶対ある!
眉間に寄っているソレを見ていれば拓斗さんの今の気持ちは充分分かる。
――あれから。
拓斗さんはずっとこんな感じで私とはあまり視線を合わしてくれない。
今からお義父さんお義母さんと拓斗さんと串田さんとご飯だというのに。
「はぁ」
隣から聞こえてきた溜め息に思わず肩をガクリと落としていると…
運転席に座りハンドルを握る串田さんとミラー越しでバチリと目が合う。