「チッ」





平日の朝となれば混むのが当然だが、スムーズに進まない交差点と赤信号の連続続きに苛々が増していく。


いっそ裏道に入るか?


いや、裏道を入る為にわざわざ遠回りするくらいならこのまま進むか?


どちらにせよ渋滞を抜けたい。





「何なんだ?」





ブツブツ呟きアクセルを踏み込む。


今の俺には髪型のセットとか服装のコンセプトもどうでも良くて、手土産をどうするか?そんなついさっきまで悩んでた事も今は頭から綺麗さっぱり消えている。


今、俺の頭にあるのはどの道を通れば優子の実家へと1番近付く事が出来るかどうかのみ。


優子が見ていたアニメの様に魔法が存在してたらいいのにと心から思える。


はやく優子に会いたい、会って事実を――…