―――キュッ―
乱暴にバスルームの扉をしめた俺は一目散に蛇口を強く捻り、いつもより数度高い湯がシャワーヘッドを伝い落ちてくるのを感じていた。
このまま湯と一緒に全て流れてしまえばいい――
「くそっ」
そんな事を考える自分自身に苛立ちが隠せなく、そんな言葉と共にガンッと壁に手をついた。
図星を指されて自分勝手に怒鳴って、俺はガキか。
優子に嘘を見破られ焦った挙げ句優子を怖がらせてしまった、なんて優子の親御さんとした約束を破ってしまってる。
大事にすると、泣かせないと、笑顔を絶やさないと、約束しただろうが…
それなのに俺は馬鹿なのか?
居た堪れずにバスルームに逃げ込んできたものの、浴びた所で気分は全く晴れるわけがない。