本当は私は拓斗さんの事何一つ知ってはいないのかもしれない。
気持ちが通じあっていると思ってたのは私だけ?
あの日から本当の夫婦になれたと舞い上がったのは私だけ??
たくさん浮かぶ私だけを考えていると、私の中でガラガラと崩れていく音が聞こえた気がして、その音はどんどんどんどん大きくなっていき、
「……っ」
耐えられなくなった私はお腹を両手で抱え込むように抱き締め、声を出さずに涙を流す。
涙を流してる間にも時間は過ぎていき、このままでは拓斗さんが上がってくるのも時間の問題で、もしも拓斗さんに赤ちゃんがいる事がバレてしまったらと考えた私は、
……守らなきゃ、赤ちゃんを守らなきゃ。
そう思う一心で私は立ち上がりリビングを後にした。