無言で包みを開ける。


中から出てきたのは、シンプルなトリュフチョコだ。



「チョコレート……」

ポツリとつぶやいた克幸は、ゆっくりと私の目を見た。

「さお、これ……」

「うん、バレンタインだから」

「お前が買ってきたのか?」

「あ、当たり前だろ!誰の為に恥ずかしい思いしたと思ってんだっ」

私は、照れくさくなってきて思わず顔が熱くなるのを感じた。

「俺の為……だよな?」

「そうだよっ……」

思わず目をそらす。

しばらくの沈黙があって、不安になって克幸を見た途端に力一杯抱きしめられた。

「ちょっ、克幸!」

「さお……ありがとな」

「う、うん……」


そのままずっと抱きしめられて、気が付くと部屋が温まりだしていた。

私は、熱いくらいだけど。