「今年もらったヤツは噛みしめながら食べよう!」
そう変な決意をしていると―――
「……さお?」
振り向くと、そこには克幸が驚いた顔で立っていた。
「克幸!あーもー、やっっっと帰ってきたな!」
私は少し怒りを抑えつつそう言った。
「お前、何してるんだ?そんな寒そうな顔して」
克幸は、手袋を脱ぐと私の頬に触れた。
「冷てっ!いつから居たんだよ、風邪引くだろ!」
「それより克幸、あの……さ」
私は後ろ手に持った袋を確かめながら、話しを切りだそうとした。
私の用事はそう、去年親友から彼氏になった克幸に人生初のチョコを渡す事。
けれど―――
「何か話があるなら俺の部屋で聞くから、とにかく上がれ」
克幸は私の話を最後まで聞く事なく、強引に克幸の家に引き入れた。