「―――ったく、克幸遅いな!いつもなら部活終わって帰ってくる時間だろ」


寒い中、驚かせたくて外で待つ身としては、風邪を引く前に帰ってきてほしいものだ。

どうせすぐ会えると思ってたから、マフラーもせずにいるのに。



それに……、

「恥ずかしい思いして本命チョコ買ってきてやったのに!」

今日の学校帰りに唯一の女の子の親友である三上旭(みかみあきら)と、たくさんの女の子で賑わうチョコ売り場に行ってきたのだ。



男オンナと言われ続けた私としては、チョコは今まで貰うものであってあげるものじゃなかった。

今までチョコをくれた女の子達がこんな気持ちを味わっていたのかと思うと、何だか申し訳ない気持ちになった。


こんな恥ずかしい思いして待ち伏せて、チョコくれてたんだよなぁ……。

それを、全く想像もせずただ食べてたなんて。



あげる立場になって、初めて実感する。