「別に。椿と結姫が喜ぶんだからいいんじゃねーの?」


 狼狽の横では一厘のツバキを見つめて微笑む結姫の姿があった。

 「…麗。砂音。結姫。ツバキの花言葉を教えてやる」

 「えー!はなことばってなに?!」

 「なにそれ」

 「知りたい!」

 盛り上がる車内に、先程までの暗い空気は消え去った。