静は祝詞が嫌いだった。

 “椿の中に巣食う祝詞達(住人)”が嫌いで仕方なかった。

 それに今日は人生に一度の晴れ舞台。

 それは椿にも、静にも当てはまることだというのに。

 
 「まぁ、そうなるね」

 
 相手が椿の皮を被った男(祝詞)だなんて、いっそ消えてしまいたかった。