---君はあの時のことを覚えているだろうか?あれは運命なのかな…?---


 夜ってこんなに寒かったっけ?

 真夏の夜は少し肌寒くて小刻みに身ぶるいした。

 背中を流れる汗も、この夜風で乾いていた。

 この道も、もう、何回通っただろう。

 蝉も寝たようで静かだった。

 辺りは人気のない裏道だ。

 電灯のほのかに白い灯りを頼りに、足を進める。