「俺が小さいときに殺されてる。だから、親の顔見た記憶がない。知らないんだ。」

「…じゃあ、悟さんは…。」

「俺は養子。」

「そう、なんだ。」

 知らなかった。

 空は悟さんの本当の子供じゃなかったんだ。

 だから、父親と思えないんだ。

 あたしは少なくとも、血のつながりだけはあった。

 それだけだと思っていたけど、空には大切なものだった。

 血のつながった親は、もうこの世にいないんだ。