気がつくといつもの海岸にいた。

 あたしに行き場なんてないんだ。

 階段の端にうずくまる。

 どうしようもなく、涙がこぼれた。

 透明な大きな雫が手の甲に落ちる、落ちる。

 あたし、何に泣いてるんだろう。

 悲しい?

 寂しい?

 …違う。

 あたしが泣いてる理由は…。

「…海。」

 背後から名前を呼ばれた。

 振り返らなくても、その声の主はわかっていた。

「そら…。」