黙って空の後を追いかけながら階段を下りる。

 スリッパの擦れたような音。

「空、早くしな…あ、海ちゃん!!起きたんだぁー。よかった。」

「あ、はい。心配かけてごめんなさい。」

「いいんだよ、そんなこと。僕はなにもできなかったし、運んだのは空だしね。」

「…はい。」

「座って、ご飯よそるね~。」

 いつものイスに座る。

 でも、雰囲気が違う。

 お母さんがいつも座っているイスは空いていた。

「はい。どうぞ。」

「ありがとうございます。」

 美味しそうな夕食。

 よそられたばかりのご飯はまだうっすら湯気を出していた。

 目の前には悟さん、隣には空。

 でも、お母さんがいない。