「海も早く帰んないと、親心配すんぞ。」

「…。」

 サク…サク…サク…。

 砂を踏む音。

 私はただ立ってるだけ…。

 もう…行っちゃったの…?

 サクっサクっサクっ。

 音が近づいてくる。

 その音は、私の前で止まる。

 視界の端に、黒いスニーカーが見えた。

「海。」