撫でる手をそっと離し、少し黙っていた。

 まだ、空の手の温もりが残っていた。

 人の温もりがこんなに温かいなんて知らなかった。

 なんだか不思議な気持ち…。

 私の視線は白い砂。

 空の視線は…どこに向いてる?

 今の時間は推定1時半。

 真っ黒な闇の中に浮かぶ三日月は、少し寂しげだった。

 しばらく波の音だけが聞こえていた。

「んじゃ…、俺帰るわ。」

「え…?」